たくき よしみつ の 鐸木能光のデジカメ・ガバサク談義 デジタルストレス王

K100D+シグマの明るいレンズ購入計画

理論を実践してみました

理屈だけでは弱いので、実際、身銭を切って、ペンタックスK100Dとシグマの明るいレンズを合わせて購入してみました。(2006年8月)
購入品と実際にかかった金額リストです。

ペンタックス K100D ボディ:64,886円(税込)送料無料
シグマ 30mm F1.4 EX DC HSM:38,640円(税込)
シグマ 18-50mm F2.8 EX DC:49,927円(税込)+レンズ2本の送料800円
ROWA MCプロテクター(フィルター径:67mm):890円(税込)送料無料
ROWA MCプロテクター(フィルター径:62mm):850円(税込)送料無料
SDメモリカード2GB ADATA SDC-2GB/150X:4,898円(税込)送料無料
ケンコー CR-V3形リチウムイオン充電式バッテリーセット:5,580 円(税込)送料525 円
(2個同時に充電できる充電器+RCR-V3電池2個のセット)

レンズを2本まとめて買ったのでかなりの出費になりましたが、最低スタートラインとしては、ボディが6万5000円、レンズが5万円、バッテリーはニッカド水素充電池を使うとして2000円くらい、レンズフィルターが1000円、メモリカードが5000円で合計12万3000円前後。ペンタックスの1万円キャッシュバックキャンペーンを使って後から1万円返金されると11万円台半ばといったところでしょうか。これで、とりあえずは撮影をスタートできます。もちろん、メモリカードや電池はすでに持っている場合はそれを流用できます。
なお、後で詳しく書きますが、K100Dのバッテリーは各種単三型電池4本、または非充電式のCR-V3=2本が指定されています。充電式RCR-V3は満充電すると電圧が高くなりすぎて誤作動を起こしますので、実際には「使ってはいけません」。

ペンタックスK100D 第一印象

ペンタックスK100D+シグマ18-50mmF2.8 シグマの18-50mm F2.8をつけたペンタックスK100Dです。
ニコン(755g)やキヤノン(645g)の純正レンズに比べると、このレンズはまだはるかに軽い(445g)のですが、それでもボディ本体と合わせた実質重量は軽く1kgを超えてしまいます。はっきり言って相当重く、運ぶのは面倒くさいですね。
ということは、これよりさらに200gとか300gも重いメーカー純正のF2.8ズームを使うというのは、値段だけでなく、重さの点からも無理だな、というのが実感。

操作系は非常にシンプルで、他社のデジタル一眼レフカメラに比べるとダイヤルやボタンの数が少ないですね。
少なくて困るということは特にありません。
どのへんをケチっているかというと、まず、AF補助光が独立していないこと。ポップアップストロボが補助光も兼ねるということらしいですが、事実上は「補助光なし」と考えていいでしょう。
しかし、一眼レフのAFは構造上レンズ一体型のAFより有利です。実際に使った感じでは、暗いところでもそれほどAFが迷うということはありませんでした。測距速度も普通でしょうか。
十字キーの真ん中OKボタンを、AFキャンセルボタンに指定しておけば、いざとなればMFに切り替えて撮ればいいわけです。ファインダーの視認性がいい一眼レフでは、マニュアルに切り替えて撮ったほうが楽な場合が多々あります。
ただ、私は追尾連写をほとんどやらないので、そのへんの性能はちょっと分かりません。
シャッター音はカショーンではなく、カタンカタンという感じで、ちょっと高級感?に欠ける感じ。
ホールド性は悪くありません。

撮影した印象

シグマのレンズの性能が期待通りで、シャキッとした画像が撮れます。手ぶれ防止機能とあいまって、暗い室内で低速シャッターを切っても、かなりシャープで明るい画像になります。
やはり理論として間違っていなかったと実感できました。
ただし、「デジタル一眼レフカメラでなければならない」かどうかは、人によって違うと思います。多くのユーザーは、「デジタル一眼レフカメラでなくてもいい」あるいは「高級レンズ一体型モデルのほうがむしろいい」のではないかという気持ちは変わりません。そのへんのことも合わせて、 実写サンプルがこちらにいっぱいあります。

注意すべき点

本体価格は安いですが、まともなバッテリーがついていません。デジタル一眼レフカメラでは珍しく専用リチウムバッテリーではなく、単三型4本で動くという設計。そのため、申しわけ程度に、アルカリ単三電池4本が同梱されていますが、もちろんこれではすぐに撮れなくなります。
非充電式のCR-V3電池2本というのがいちばん長持ちする方法ですが、非充電式ですから、ランニングコストがかかってしまいます。充電式のRCR-V3電池を使ってみましたが、これはフル充電すると電圧が3Vを軽くオーバーするようで、誤作動、あるいは動作しなくなりました。
最初はうまくいったのですが、動かなくなるときも突然で、パタッとダメになります。
結局、エネループ単三4本で使うのがいちばん安全かと思います。エネループタイプ以外のニッカド水素電池はお勧めしません。
電圧差に対して非常に敏感なようで、電圧が高すぎると、あらゆる操作のたびにシャッターが切れるという恐ろしい誤作動地獄に陥ります。最初この症状になったときは、さっそく壊れたかとガックリきましたが、バッテリーの問題でした。
満充電して電圧が高くなりすぎたRCR-V3電池では、1本だけ入れて、もう片方にエネループ単三電池2本を入れるとトータルの電圧が下がって動く……といったことも試してみました。本来こうした方法はお勧めしませんが、現在ではこの形で使っています。問題なく動いていますが、保証の限りではありません。
使えるメモリカードはSDカードのみです。最近はSDカードにも4GB、8GBといった大容量のものが出てきましたが、4GB以上はFAT32でフォーマットされているため、K100D用としては相性を確認していません。
私は調べた限りで最安値のもの(ADATA SDC-2GB)を買いましたが、今のところ問題は出ていません。また、液晶をガードするフィルム(裏面と肩部分の2か所)は、購入してすぐに貼っておきましょう。
操作系でいちばん注意が必要なのはISO感度の設定です。
AUTOにしておいても、オートブラケットや露出補正を設定すると、ISO200に固定されてしまいます。私の場合、オートブラケットや露出補正は使うのがあたりまえになっているので、暗いところでいちいち手動でISOを設定するのが非常に面倒です。また、暗いところでISOを高感度に設定した後、元に戻すのを忘れて明るいところに移動するとISOが高感度になったままで荒れた写真になる、という失敗をいっぱいしました。
これはなんとかしてほしいものです。

(2008年11月9日追記)
K100Dは、一眼レフとしては多少安っぽさがあります。シャッター音がカタンカタンという感じだったり、AF補助光が内蔵フラッシュに組み込まれていて、フラッシュ撮影時以外には使えなかったりといった点は、安く作ったな、という印象ですが、安くする部分が良心的というか、「分かっている」切りつめ方だと思います。
画素数を600万画素に抑える一方で、手ぶれ補正機能は搭載する。そうした判断の正しさに好感が持てます。
残念なことに、Pentaxはその後、610万画素のデジタル一眼をやめてしまいました。現行製品はすべて1000万画素超のCCDになっています。
APS-CサイズのCCDやCMOSの画素数は1000万画素が許容上限ではないかという気がします。
私は今では、1000万画素のα300と600万画素のK100Dを使っていますが、色の階調などはK100Dのほうが明快というか、安心感を持って使えます。普通に使う写真であれば、600万画素と1000万画素の解像度の差はまったく関係ありません。Pentaxの現行商品から600万画素デジタル一眼が消えてしまったのはとても惜しいことです。
2008年11月現在、K100Dのボディを3万円台半ばでまだ売っている店があるようです。改良型のK100DSuperは、製造中止になってからは、むしろ店頭在庫の価格が上がりました。1000万画素になったK10DやK20Dよりも、軽くて使いやすいK100Dを求めるユーザーがいるという証明でしょう。
ボディを小型化したK-mというのが出ましたが、「ママ専用」などという軟弱な売り文句は大いに疑問です。小型軽量のデジタル一眼は、女性でなくてもほしいのですから。
K-mの大きさは、122.5x91.5x67.5 mm で重量525 g。
K100Dの大きさは、129.5x92.5x70 mm で重量560 g。
その差はわずかです。レンズの重さを考えると、総合重量での差はほとんどないくらいの感じになるでしょう。
私は現在、K100Dにはシグマの30mm/F1.4をつけっぱなしにしています。内蔵ストロボを上げなければ補助光が出ないという弱点を逆手にとって、室内でのポートレート撮影などに使っています。補助光が出ないことで、被写体があまり意識することなくよい表情を作ってくれるのです。

しかしまあ、K100Dのポジションに相当する600万画素小型デジタル一眼は、今後、Pentaxからは出ないのでしょう。となると、現行製品では、NikonのD40に長くしぶとく頑張ってもらいたいと思います。
まったくイチからデジタル一眼を買おうとしているかたには、Nikon D40+タムロン18-270mm(手ぶれ補正機構内蔵、AFモーター内蔵の超広域ズーム)とシグマ50mm/F1.4(AFモーター内蔵)という組み合わせ、または角度可変ライブビュー液晶モニター搭載のSONY α300をお勧めします。
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