タヌパック短信 38

■石鹸シャンプーの研究


 松山油脂の「アミノ酸せっけんシャンプー」に出逢うまで、僕がどんなシャンプー遍歴をたどってきたか、簡単に紹介します。
 三十くらいまでは、シャンプーにはあまり気を遣いませんでした。多くの男性がそうだと思います。スーパーで売っている安い商品を、「なんとなく」買って使っていました。
 気にかけるようになったのは、どんどん髪が薄くなってきたからです。
 禿は遺伝や年齢によるもので、避けようがないものと半ば諦めてはいましたが、抜けるというよりも、髪そのものがどんどん細く、腰がなくなっていくのに気づきました。
 それから合成洗剤の害について少し勉強し、生協で売っていた「ウィルケア石けんシャンプー」(エスケー石鹸)や「パックスナチュロンシャンプー」(太陽油脂)というシャンプーを使うようになりました。
 最初はなかなか馴染まず、髪がごわごわした感じがしたりましたが、これは、合成シャンプーを使い続けていた人には避けられないことのようです。
 合成シャンプーで痛めつけられ、弱くなった髪が、石鹸に対して正常な反応をしきれないらしいのです。
 当時のパックスナチュロンシャンプーは油分を補っていたため、洗い上がりがべとついた感じで、ちっともさっぱりしないという欠点もありました。お気に入りはウィルケアのほうで、大量に買い込みました。
 石鹸シャンプーに替えてからは、抜け毛が目立って減るようになりました。
 ところが、生協の共同購入を続けられなくなり、「ウィルケア石けんシャンプー」が入手できなくなりました。
 普通のスーパーでも売っている「石鹸シャンプー」はないものかといろいろと捜しているうちに、石鹸推進派メーカーの雄・シャボン玉石鹸では、液体石鹸も液体シャンプーも作っていないことを知りました。
 シャボン玉石けんでは、「プチパレ」という固形石鹸をシャンプーとして売っています。試してみましたが、普通の固形石鹸と変わらず、洗い上がりはかなりごわごわした感じになります。しかもプチパレは高い。一個九百円もするのです。葉緑素添加というのも無意味に思えるし、釈然としません。
 固形石鹸で洗うなら、いっそ普通の台所用として売られている無添加固形石鹸で洗髪すればいいんじゃないか……と考え、カネヨの「ふきんソープ」で洗髪してみました。プチパレと変わらない印象でした。
 カネヨからは「ふきんソープマイルド」という石鹸も出ています。純石鹸分は少なく、グリセリンを添加しています。台所用には必要ない処置なのですが、試しにこれで洗髪してみました。
 すると、これがかなりよいのです。ウィルケア石けんシャンプーはまだ買い置きがありましたが、暫くはカネヨの「ふきんソープマイルド」で洗髪することにしました。
 そのうち、パックスナチュロンシャンプーが製品改良していることに気づきました。前のようなべたつきがなくなり、快適です。ただ、無添加石鹸に慣れてしまった僕には香料がきつすぎて、今ひとつ好きになれません。
 その間も、玉の肌石鹸の「桃葉グリーン」(これは完全な合成シャンプー)などにひっかかったり、いろいろ試行錯誤しました。相当注意深く成分表示などを見ていても騙されます。
 石澤研究所の「ISL複合せっけんシャンプー」などは、「複合」の文字が小さく表示してあり、あたかも純粋な石鹸シャンプーであるかのようなパッケージングです。しかも洗い心地がよくない。べとべとしてすっきりせず、すぐにやめてしまいました。
 そして出逢ったのが、前号、前前号で紹介した松山油脂の「アミノ酸せっけんシャンプー」というわけです。
 今まで使ったどの石鹸シャンプーより使用感は優れていて、べとつかず、さっぱり洗い上がり、ごわつきもありません。
 石鹸生活推進運動でいちばん難しいのがシャンプーです。理屈では石鹸がいいと分かっていて、多少のごわごわ感を我慢して使い続けても、やはり挫折してしまう人がたくさんいます。
 知人にアレルギー体質の見本市のような女性がいます。なんと、一般には保湿成分として手荒れや肌荒れ防止目的で添加されるグリセリンにまでもアレルギーを持っているというのです。
 今までもウィルケア、パックス、ふきんソープマイルドなどいろいろ試してみたらしいのですが、すべてダメだったとのこと。彼女に松山油脂のアミノ酸石鹸シャンプーを勧めたところ「洗い心地が全然違う!」と感動していました。
 アミノ酸石鹸シャンプーは、「石鹸で髪を洗う」ことに抵抗なく入っていける画期的な商品ではないかと思います。別に松山油脂になんの義理も借りもありませんが、こうして紹介しようという衝動を感じるほどの商品だったのです。
 でも、もとより、洗剤との相性というのは個人差が大きく、特にシャンプーは好き嫌いが分かれます。僕はこのアミノ酸石鹸シャンプーを傑作だと思うのですが、人によってはウィルケアやパックスのほうがいいと言う人もいるでしょう。問題は、まともな石鹸シャンプーの数がいろいろ開発されて、選択肢が増えていくことです。何事も、選択肢が限られているというのは、それだけで圧迫感がありますもんね。
(さらに続く)

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