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第156回  マヨヒガ     作者 逢海(oumi)



これがフリーなの? と感動するゲーム

今まで、たくさんのアドベンチャーゲームやRPGをダウンロードしてみましたが、「ソフ得!」で紹介できるようなレベルのものはまったくありませんでした。
その経験からすると、この『マヨヒガ』は奇跡のような出来映えです。作者にはほんとに感謝したいですね。
3000円くらいのシェアウェアであっても安いと思うほど。これがフリーソフトだなんて……。
世の中、悔しいことがたくさんありますね。質の高いソフトが無料公開されていることって、同じ「娯楽作家」としては複雑な気持ちになるのです。

操作方法だけが難点

すばらしいゲームなのですが、操作方法が独特で、それを覚えないと最初の部屋から出ることさえできません。
矢印キーで歩き回り、Enterキーで目の前のものを調べる、というところまでは感覚的に誰でも分かると思いますが、見つけたものを身につけたり使ったりする方法が難解です。
まず、何かする前には必ずESCキーを押して、状態を確認しましょう。↓

↑例えば、この状態ではなにも「装備」していないことになります。

最初に見つけるのは「松ヤニ玉」と「おにぎり」ですが、これらを「使う」には、いちいちESCキーを押してこの「ステータス画面」を出し、「道具」のところから使いたいアイテムを選び、Enterキーで「装備」(手に持つ)しなければいけません。
松ヤニ玉は最初4個ですが、部屋を出るために必ず1個使うので、残りは3個。この3個も、使うごとにESCキーを押してステータス画面を出し、「手に持って」から使わないといけません。
おにぎりや棒などもすべて同様です。拾っただけでは使えません。
これが分からないと、まったくゲームが進まず、せっかくの面白い展開を知らないまま「なんだこれ! だめじゃん」で終わってしまいます。それはあまりにもったいない!

↑例えば、この状態では松ヤニ玉は使えません。
 

↑道具リストの松ヤニ玉を反転させてEnterキーを押し、この状態にして初めて使えるようになります。この状態にしてからESCを何度か押して元の画面に戻ってから、使うべき場所の前に来て、Enterを押すことで、ようやく「松ヤニ玉を使う」ことになります。
ものを「元に戻す」ときも同様で、ESCキーで状態画面を出して、道具を「手に持つ」にしてから元画面に戻り、Enterを押すと初めて「○○を元に戻しますか?」と訊いてきます。

アドベンチャーゲームの常で、分からなくなると1週間も1か月も先に進めなくなることがあります。そこまで忍耐できない人には、完全攻略法を書いたゲームマニアのサイトがありますので、こっそり見てください。あまり頼りすぎるとつまらなくなってしまいますので、ほどほどに。
攻略法のページは→こちら
結末は5通り用意されていて、それぞれが「な〜るほど〜」と感心させられる、一ひねりあるもの。ノーヒントですべての結末を見ることができる人はほとんどいないのではないでしょうか。特に「影小僧」を一緒に救済するのは至難の業。
なお、最後に近づいたら、「記録」は複数に分けてこまめに取っておいたほうがいいでしょう。後から別の結末を見たいと思ったとき、ストーリーの分岐部分の前に戻りやすいようにです。例えば、「主人公が○○しないまま逃げ出すと……という結末」というのがありますが、○○した後の記録しか残っていないと、やり直すにも最初からやり直さないとこの結末は見られなくなってしまいます。
クリアできた人は、最後に作者のサイトにある「オマケ」ページもぜひ読んでみてください。このゲームの背景には、古事記や遠野物語などが存在することがよく分かります。
私が今までいちばん感心したゲームは、広井王子氏がプロデュースした『天外魔境』シリーズです。最初に発表されたときPCエンジン用だったため、ファミコンでヒットしたドラクエなどに比べると売れませんでしたが、ドラクエなどよりはるかに深みのある、楽しいゲームでした。ストーリーの背景にある「教養」や哲学がかいま見られるところがなんともいえず楽しかったのですが、そういうゲームは本当に少なくなりました。
『マヨヒガ』は久々にそうした楽しみを味わえたゲームです。
現在公式公開を待っている次作にも期待したいものです。
(追記)
その後、「ソフ得!」での紹介に合わせて、作者がRPGツクール2000のランタイムなしでも動くように改良したようです。それに合わせて、ESCキーを押したときの画面や内容もちょっと変わっているようで、もう一度最初からやってみようかな……。
新画面
↑新しい「ステータス確認画面」。「装備」が「手に持つ」に変わっていたり、いろいろ改良のあとが見られる。作者のoumiさん、ありがとうございます。

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